05年度秋学期研究報告です。
(続きは上のリンクから↑)
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論文本体
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発表用配布レジュメ
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発表用パワーポイント
(ただの演出なのであんまし意味なし)
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発表用原稿
(実はこんなものまであったwwww)
無節操に研究を変えているように見えますが、実は一貫してデジタルディバイドだとか秩序形成で生じる問題解決などの基盤があって、そこから研究を出発させている次第で、手法をあれこれと変えていたりするのです。
んで、発表次に出た質問に対してリプライをここに書き置いておきます。
Q1:
・対象を想定した広さはどこぐらい?
(VIPでネ申エージェントがいるかどうか微妙。
つまり2chとかVIPとかがごっちゃになっていないか、ということ)
・ネタの枯渇を抑えるというが、どこで枯渇しているのか?
A:
これについては一応言及していて、2chだとかVIPだとかはそれぞれの話のケースとして用いており、ネ申エージェントが普遍的なものではありません。論じたかったのはあくまで価値資本を「投下するエージェント」と「消費するエージェント」という役割があって、インターネット上のアンインテリジェンスコミュニティにおいてはいつでもその立ち位置を変えることができるよ、ということです。
ネタの枯渇を抑えるを抑えるといったコミュニティの線引きの話についてはかなり広域な議論になってきていますが、あくまで”そのコミュニティ内”での枯渇で、秩序を揺るがすことによって外(別であればインテリジェンスだろうがアンインテリジェンスだろうがかまわないのだけれども)のコミュニティからの情報を流入させて再活性させる、という話です。
Q2:
インテリジェンスにおけるまとめサイトの役目を果たしているのは何だ?
A2:
その後の話に出てきたけど、確かにマスメディアかも知れないですね。マスメディアはサイバーカスケードを抑制しているというはたらきがあるということですが、そうすると、こういう議論も出てきます。
Q3:
創発を助けているというよりは、”制限”しているのでは?
A3:
”制限”という意味を広義にとると実はその通りだと思います。つまり、狭義の意味である「支配」ではなく「コントロール」であり、まとめサイトのような”コンテクストによる枠組みでのコントロール”を行うことでコミュニティの発散を防いでいる、そうすることで発散による創発の終焉を防いでいるという意味でいるし、ネタ枯渇をさせないために一定の範囲で新しい情報を得てくるという役目を果たしています。
そして従来のマスメディアと違っているのはまとめサイト自体が主観性を排除しようという努力により、創発行為自体に強い影響を及ぼそうと意識をしていないことにあります。まとめサイトの目的は主に”エージェントの増加”に向けられており、影響の与え方はきわめて間接的である、と考え得るのです。
Q4:
エリアーデや柳田邦夫といった民俗学・境界の文献をもっと読めゴルァ!
A4:
ごもっともです、はい、ゴメンナサイ・・・
Q5:
日本では2chとかでこういったことがみられるけれども、外国ではどうだろう?
A5:
土屋先生のご質問で、これが一番想定外でした。ぐふ。このイトコモデルにあてはまる(インセンティブがネタであり、ネ申といった信頼によりトラストを得る、と言った)ネタサイクル構造は日本語というテクストを大本の地盤としたコミュニケーションによって築かれているものであるからサイクル構造が当てはまるかどうかは疑問です。
しかしながらアンインテリジェンスとインテリジェンスの折衝はやはり諸外国にも見られ、それによって新しい秩序の模索が行われています。
加えて、その国の言葉をコンテクストとしたコミュニケーションはどこの国においても当然として行われており、その中で価値観を同じくするコミュニティが作られていることもまたしかるべきです。
そのことをみると境界を行き来することで創発を再活性させることは可能ではないだろうかと言う推測は立ちます。これは実際にケースを探してこない限りは実証できませんが。
例を考えると例えばシリコンバレーなんか。シリコンバレーは都市単位のコミュニティを形成していて、常に”イノベーション”をキーワードに新しい要素を常に取り込み続けているために創発の下地が整っているクリエイティブな都市となっているのではないでしょうか。
分かっていることは、「コミュニティを保つんだ!」ということが自己目的化すればそこに価値資本そこだけに収束していきサイクル構造は止まってしまい、結局コミュニティは保てなくなってしまう、ということでしょう。
Question Another;
持続し続ける創発の、定量的調査はどうするべきか?
A:
国領先生が出していたお題を一年たってから答えるのも何ですが、自分なりの回答です。
創発に必要なのは論文で挙げたとおり”価値資本の投下”であるから、投下された価値資本と、出力された価値資本と、再生産にまわされたアウトプットを数値化して追っていけば定量的な調査が可能だと考えます。
例えばNPO団体であればミッションの目的もあるだろうけれども、資本主義経済下で活動しているから、この場合価値資本が単一ではありません。
だからこそアウトプットの中で”お金”がミッションとコミュニティ維持などに必要分分配されているか、ということです。
コミュニティを保つためだけにお金を投下したり、お金を稼ぐことだけが目的化すればバランスが悪くなりコミュニティの不健全かが起こり、当初の創発とは異質のものになっていき、悪くなれば止まってしまう、ということです。
またあれば追記していきますが、こんな感じです。
まとまったら論文本稿自体を少し整理したいと思います。
ところで、合宿後自省をしてフォローアップをするあたり去年よりは自分なりにましになったと思ったのですが、どうだろう。